介護の仕事で対象になる利用者のほとんどは、高齢者や身体の不自由な人です。もし、このような介護現場で感染症が流行ると、身体の弱った利用者には、たちまち大きなリスクになります。最悪のケースでは命を落とすことさえあり得ます。そこで介護用語としても覚えておきたいのが、感染予防です。同時に介護職には感染予防の知識や技術をしっかりマスターし、日々衛生管理に気を配りながら感染予防に注力することが求められます。
まず最初に大切なことは感染源の撲滅です。病原体を死滅させるためには、大きく分けて2つの方法があります。1つ目は滅菌法によるもの。加熱された飽和水蒸気による高圧蒸気滅菌や、ホルマリンや酸化エチレンガスによって滅菌するガス滅菌などがよく知られます。2つ目は消毒法によるものです。介護の現場で最もよく知られているのが、消毒用エタノールによる手指の殺菌でしょう。また居室や家具類には、塩化ベンザルコニウムの消毒液を使用することもあります。
もう1つ感染予防で不可欠なのが、感染経路を遮断することです。どんな感染症でも必ず病原体を運んできた経路が存在します。経路を遮断することで、感染拡大を抑えることが可能となるのです。介護現場では、石鹸を使用した日常的な手洗いをはじめ、アルコールやエタノールの消毒液による衛生学的手洗い、あるいは手袋やマスク、エプロンの着用を徹底することが、感染経路の遮断に役立ちます。