介護用語としてのバイタルサイン

介護職の仕事は対人援助が中心ですが、そのほとんどが老化や疾患などを抱えた高齢の利用者です。その日常生活全体をしっかりと観察し、その様子をきめ細かく記録に残すことが求められます。こうすることで、突発的な異変や事故にいち早く気づくことができるのです。また、危険予知やリスクの回避にも役立ちます。特に利用者の身体を観察するにあたっては、毎日のバイタルサインのチェックが不可欠。介護職は、バイタルサインを介護用語として理解し、測定方法の知識や技術を身に付けなければなりません。そもそもバイタルサインとは、人間が生きているという生命兆候を意味します。介護の現場では、利用者の体温や脈拍そして呼吸から、毎日のバイタルサインをチェックするケースがほとんどです。

まず、体温の測定では体温計を使用して、その変動から正常か異常かを読み取ります。測定部位は腋窩が一般的ですが、口腔や直腸で測定する場合もあります。ただし、入浴や運動あるいは食事等の直後だと、体温が余計に上昇するので注意が必要。脈拍も重要なバイタルサインになります。測定できる箇所は、橈骨静脈や上腕静脈さらに総頸動脈や大腿動脈など、数多く豊富。測定方法も容易なので、介護の現場では珍しくない測定方法です。1分間の脈拍数やリズムなどをしっかり観察しながら、正確に記録することが求められます。

もう1つの呼吸についても、見逃してはならない観察ポイントでです。ここで注意すべき点として挙げられるのは、利用者が「測定されている」と意識し始めると、呼吸の速さやリズムが変化する恐れがあること。このため、気付かれないように測定することが肝心です。これも1分間の呼吸数の他、深さやリズムなどを観察し、正確に記録しなければなりません。